ニコニコ動画にアップしたこちらの動画、
『【BF4】Battlefield4にありがちなこと』がいつの間にやら15万再生を達成しておりました。見て頂いてありがとうございます・・・というのも妙な気がしますが、楽しんでいただけましたら幸いです。
それでせっかくの15万なわけですから、この機会になんかやれないかと関係部署に相談したところ、以前電撃PlayStationに載せたゲームのプレイ動画についてのコラムを転載していいという話になりまして。
・ゲームのプレイ動画が法的にどういう扱いになるのか
・プレイ動画が二次的著作物と認められるのか
といったことを、東京弁護士会の小沢弁護士に相談した内容となっております。
GeforceのShadowPlay機能や、PS4のシェアボタンもあって、プレイ動画は一層身近なものになってまいりました。もし興味がありましたらご覧ください。
ゲームの大公開時代 前編
(電撃PlayStation559号に掲載されたものを、一部修正して掲載しております)
ニコニコ動画では最近すっかりゲームの『プレイ動画』というカテゴリが定着しました。このカテゴリの動画がデイリーランキングで一位になることも珍しくありませんし、ゲームメーカー側からも公式にプレイ動画の配信をOKとするところも出てきました。
個人的にもゲームの神プレイ動画などを見るのは結構好きですし、自分でゲームをしていても「今のプレイ、誰かに見てもらいたい」などと思うことは多々あります。しかし、「じゃあ自分も何か配信してみよう」とは考えもしませんでした。プレイを録画する機材もそろえなければなりませんし、録画した動画を編集するソフトウェアも用意しなければなりません。そこまで労力をかける気力はとてもありませんでした。
ところが、昨年十月ごろのことです。多くのゲーミングPCに搭載されているグラフィックボード『GeForce』シリーズの一部に『ShadowPlay』という機能が追加されました。これはようするにパソコン用ゲームの動画を極めて簡単、かつ低負荷で録画できる機能です。私も使ってみましたが、バトルフィールド4のような高いスペックが必要なパソコンゲームでさえまったく問題なく録画が可能でした。
また、最近ではパソコンにも動画編集ソフトが標準で付いているんですね。たとえばWindowsなら『ムービーメーカー』が標準で搭載、ないし無料ダウンロードが可能となってました。
そろえるのが面倒だった録画機材も動画編集ソフトも、いつの間にか手元にあったわけです。こうなるとせっかくだからということで、私もバトルフィールド4のプレイ中に起きたNGシーンを『ShadowPlay』で録画して『ムービーメーカー』で編集し、BGMを付けてニコニコ動画にアップするということをやってみました。『【BF4】Battlefield4にありがちなこと』という四分ほどの動画です。何せ動画については素人なので見てくださいとは言えませんが、まあ素人が金をかけなくてもここまでできるということで、もしお時間でもありましたらニコニコ動画で『BF4 ありがちなこと』と検索してみてください。
やってみて分かりましたが、このレベルの動画だと作るのは恐ろしく簡単です。もっとも、GeFoce搭載のパソコンとなると持ってる人は限られるかもしれませんが、『ShadowPlay』に類似した機能が搭載されるパソコンは今後増えていくでしょうし、なによPS4にもシェアボタンが搭載され、ゲーム動画の録画・配信が手軽にできるようなりました。
とはいえゲームのプレイ動画配信というのはまだ法律的に未整備な部分があります。『PS4のシェアボタン機能によるプレイ動画の配信』についてはメーカー的に許諾されることになるとも聞きますが、なにしろ発売前なので電プレの情報待ちというのが個人的な現状です。
そこでPS4についてはともかく、現時点でプレイ動画をアップするにあたってはどのような法的な注意が必要になるのかを、東京弁護士会所属の小沢一仁弁護士に色々相談してみました。(なお、以下の執筆内容については、小沢弁護士に監修してもらっております)
まず大前提として、ニコニコ動画でよく見かける実況プレイ・NGプレイ集・ゆっくり実況のような動画を配信すると、ゲームメーカー側の許諾がない限り著作権を侵害するということになります。ただしこれはそう身構えるような話ではなく、逆に言えばゲームメーカーの提示した許諾条件さえしっかり守っていればまず問題になることはないそうです。特に最近は公式サイトなどで許諾条件が公開されていることも多くなっていますので、事前に確認さえすれば著作権を侵害してしまうといったリスクはほぼ回避することができると思います(前述した私がアップした動画についても、もちろん確認を取ってます)。また、ゲームメーカー側の許諾だけではなく、当然ながらニコニコ動画やyoutubeなど、動画サイト側の規約についても遵守しなければなりません。
それから特に『オンラインゲームのプレイ動画』をアップする際に問題となりがちなのが、画面に入ってしまう他プレイヤーのキャラクターです。たとえばFF14にしろモンハンにしろ、他プレイヤーが動画に入ってしまうことは避けられません。
そうなると肖像権という問題がまず思い浮かぶのですが、肖像権は一般的に個人のプライバシー権の一部と位置づけられており、『個人の意思に反してその姿を撮影』したり、『撮影したものを公表されない』権利であると言われています。つまり肖像権は、人について生じる権利であるため、人ではないゲームキャラクターには肖像権がないという結論になるそうです。したがって、他人のゲームキャラクターが画面に入っている動画を投稿しても、肖像権侵害の問題になることは考えにくいそうです。
しかしながら法律的にはさておき、『私のキャラを無断で出さないでください!』という個人間の紛争が生じる危険は常にあります。このようなリスクを避けるために、たとえばFF14なら他人のキャラ名を出さない設定にするとか、モンハンなら『動画を録画していいですか?』などと事前に聞いておくなど、できる限りの対応はとっておくに越したことはありません。
それから、自分が制作したプレイ動画が法律的にどういう扱いを受けるか、いわゆる『二次的著作権』がプレイ動画に認められるか否か。認められるとして、プレイ動画の作成者に著作権法上どのような権利が認められるかについても知っておいて損はないと思うのですが、すいません、唐突ですが行数がなくなりました。続きは次号に。
なお、次回のコラムについても小沢弁護士に監修をしていただく予定です。
ゲームの大公開時代 後編
二次的著作物について
(電撃PlayStation561号に掲載されたものを、一部修正して掲載しております)
前回に引き続き、ゲームのプレイ動画についての法律的なお話です。
まずプレイ動画や同人誌などは、内容によっては著作権法上の『二次的著作物』というものに該当し得るのだそうですが、これに関連して覚えておくと便利なのが、『二次的著作物についての著作権』です。
たとえば以前、『自分の作った同人誌が無断でインターネット上にアップされたので削除を要請したが“同人誌に著作権はない”という理由で拒否された』という事件が話題になったことがありました。
これが法律的にはどうなるかというと、同人誌が『二次的著作物』に該当するとすれば、作者は当該の同人誌について著作権を有することになりますので、同人誌がアップロードされたサイトの管理者等にデータの削除を求めたり、無断でアップロードをした人に対して損害賠償を請求することも可能だそうです。
ただし『二次的著作物』と認められるかについては厳密な基準があり、『既存の著作物の修正損減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われるに至っていない』ことが必要なんだそうです。ようするに原著作物の丸写しとかはダメで、原著作物の表現の本質的な部分を失わずに、かつ独自の創作性を加えたものでなければダメだそうです。この基準は結構厳しいそうでして、『二次的著作物』と認められる範囲は、実際にはかなり狭いそうです。(最終的には裁判所が判断することになるそうですが)
以上のことはゲームのプレイ動画についても当てはまりますので、自分がアップしたプレイ動画が第三者によって無断転載・無断使用などされた場合には、著作権法に基づき使用差し止めなどの訴えを起こすことは可能だそうです。ただし、その場合には前述通り『二次的著作物である』と裁判所が認定してくれなければなりません。特にプレイ動画はゲーム製作者が作成したキャラクターの動きがプログラムによって再現されるものですので、単に一連のゲームプレイを動画にしただけでは『二次的著作物』と評価される可能性は低いそうです。それでも、プレイ動画に動画作成者独自の工夫が凝らされており、創作性が認められるような場合には、『二次的著作物』と評価される余地は充分あるそうです。裁判所の判断次第ではありますが、たとえば実況者の声が入っているような『実況プレイ動画』なら、『二次的著作物』と認定してくれる可能性はあるそうです。
ただし、この際には大前提としてゲームメーカー側が提示している許諾条件を厳守している必要があります。というのも『二次的著作物の作成は、基本的には原著作物の著作権の侵害を伴うものなので、事前に原著作権者から利用許諾を得ておく必要がある』からだそうでして。
さて、法律的な話になるといかんせん堅苦しくなっていけません。今回弁護士の方に取材してあらためて分かりましたが、プレイ動画というものが基本的にはゲームメーカーの著作権を侵害するものであることは間違いないようです。しかし現実には、ゲームメーカー側からもゲーム業界をより盛り上げていきたいといった理由で、一定条件を満たせば公式にプレイ動画の配信が許諾されるという流れが増えてきました。
その結果、プレイ動画というカテゴリはニコニコ動画でも大きく盛り上がり、今に至るわけです。これはメーカー側とユーザー側、どちらかがなにかを強いられたとか妥協したとかというわけではなく、互いに協調した結果、新たな遊び方・新たなカテゴリが生まれたわけです。個人的に、これは結構すごいことではないのではと常々思ってました。
PS4のシェアボタンは間違いなくこのカテゴリをさらに賑やかにしてくれる機能だと思いますし、一ゲームユーザーとしてはそういったプレイ動画の流行によって今以上にゲーム業界が賑やかになればと思わずにはいられません。
というわけでみなさんも、ルールを守って楽しくプレイ動画!
なお今回のコラム執筆にあたりましては、前回に引き続き東京弁護士会の小沢一仁弁護士に監修をお願いしております。
2014年04月08日
ゲームのプレイ動画について弁護士の方に聞きました
posted by 師走トオル at 20:13| 日記